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法律トピックス

会社法改正【会社法の一部を改正する法律】 (2021.08.19)

 

 

 

「会社法の一部を改正する法律」(2019年12月11日公布)にて、次の点について 会社法が改正されました。

1.株主総会資料の電子提供制度の創設
2.株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備
3.取締役の報酬に関する規律の見直し
4.会社補償および役員などのために締結される保険契約(D&O保険)に関する規律の整備
5.社外取締役に関する規律の見直し
6.社債の管理に関する規律の見直し
7.株式交付制度の創設
8.その他

 

改正の目的

法務省のパンフレットでは、以下のように説明しています。

会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図ることを 目的とするものです。

これにより、日本企業のコーポレート・ガバナンスが更に向上し、日本企業の競争力や日本企業に対する内 外の投資家からの信頼がより高まり、ひいては、日本経済の成長に大きく寄与するものと期待されています。

 

 

公布日・施行日

●2022年施行予定
(公布日から3年6か月以内)

1.株主総会資料の電子提供制度の創設
8.その他(会社の支店の所在地における登記の廃止)

 

●2021年3月1日施行
(公布日から1年6か月以内)

2.株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備
3.取締役の報酬に関する規律の見直し
4.会社補償および役員などのために締結される保険契約(D&O保険)に関する規律の整備
5.社外取締役に関する規律の見直し
6.社債の管理に関する規律の見直し
7.株式交付制度の創設
8.その他

 

 

ポイント①:株主総会資料の電子提供制度の創設

まず、「電子提供措置」について説明します。

電磁的方法により、株主が情報の提供を受けることができる状態に置く措置のことです。

Webサイトでの掲載などがこれに当たることになります。

「株主総会参考資料等」とは、新法325条の2第1項かっこ書によると、

①株主総会参考資料
②議決権行使書面
③437条の計算書類および事業報告
④444条6項でいう連結計算書類

を指します。

電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の取締役は、株主総会の招集通知を書面で行う必要がある場合 (会社法299条2項各号)には、

①株主総会の日の3週間前
②株主総会招集通知の書面による通知を発した日

いずれか早い日から、株主総会の日後3ヶ月を経過するまでの間、新法325条の3各号に掲げる情報について、 電子提供措置を行わなければならないとしています。

ここで、電子提供措置をとる会社は、株主総会の招集通知について修正が入ることについて触れておきます。

新法325条の4第1項は、電子提供措置をとる場合には、会社法299条1項の定める招集通知の期限について 公開会社・非公開会社の区分を問わず一律に2週間と定めています。

電子提供措置をとる場合には、 株主総会の招集通知の送付期限について修正が入ることに注意が必要です

 

書面交付制度

電子提供措置制度を採用する会社について、インターネット等へのアクセスが困難な株主の保護も目指し、 「書面交付請求」の制度を認めました(新法325条の5)。

 

電子提供措置の中断

電子提供措置期間中に電子提供措置の中断がある場合、次の4つのいずれの場合にも該当する際、 電子提供措置の中断が、電子提供措置の効力に影響を及ぼさないとしています

①電子提供措置の中断が生ずることにつき株式会社が善意でかつ重大な過失がないこと又は株式会社に正当な事由があること(新法325条の6第1号)
②電子提供措置の中断が生じた時間の合計が電子提供措置期間の10分の1を超えないこと(同条2号)
③当該期間中に電子提供措置の中断が生じた時間の合計が当該期間の10分の1を超えないこと(同条3号)
④株式会社が電子提供措置の中断が生じたことを知った後速やかにその旨、電子提供措置の中断が生じた時間及び電子提供措置の中断の内容について 当該電子提供措置に付して電子提供措置をとったこと(同条4号)

 

 

ポイント②:株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

近年、1人の株主が大量に議案を提出するなどの株主提案権の濫用ともいうべき事態が発生しており、このような濫用的な株主提案権の行使について 歯止めが必要な状況となっていました。

そこで、今回の改正では、株主の提案できる議案の数について、10個を上限とするなど、濫用的行使を防止する対策がとられました。

株主の提出しようとする議案の数が10を超える場合には、10を超えた議案の数については305条1項から3項が適用されない、 つまり議案の要領の通知請求権がない

ということを定めています。

すなわち、株主が一つの株主総会において議案の通知を請求することのできる議案の数は10まで、ということになります。

なお、議場において提案する議案の数に制限が加えられたわけではないので、この点は注意が必要です。

 

10個の議案の算出方法

議案の数の数え方については、新法305条4項各号が規定しています。

まず、役員等の選任、役員等の解任、会計監査人の不再任については、議案の数にかかわらず1個の議案とみなされます(新法305条4項1号、2号、3号)。

なお、「役員等」とは取締役、会計参与、監査役、会計監査人の総称とされています(新法305条4項1号かっこ書)。

次に、定款変更に関する2以上の議案については、当該2つ以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性があるような場合には 1つの議案とみなす、としています

2つ以上の定款変更が密接に連動しているような場合は1つとみなす、という趣旨です。

これまで述べてきたように、新法305条4項は10を超える数に相当する議案について株主提案権を認めないとするものです。

 

では、 10を超える数に相当する議案が提出された場合にどの議案を取り上げるか、はどのようにして決めるのでしょうか。

この点について新法305条5項本文は、取締役が定める、としています。

したがって、10を超える数の議案が提出された場合、 原則として取締役が株主提案権の行使を認めない議案の決定を行うことになります

しかし、株主が議案の提出の際に、 株主が提出しようとする2以上の議案の全部、又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には、 取締役は、当該優先順位に従いこれを定める、とされています(新法305条5項ただし書)。

すなわち、議案の提出を行う株主が優先順位をつけてこれを行った場合、優先順位に従って10を超える数に相当する議案を定める、 ということです。

取締役が自己に都合の良い議案を優先的に取り上げるような濫用的な事態を防止する趣旨です。

 


いかがでしたでしょうか。

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